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離島フィッシング

海でのカヤックに風は大敵だ。風は波もおこすため、風が強いと色々な意味で楽しめない。
今年は、何故か週末のたびに風が強く出航できる機会が少ないのだが、こればかりはどうしようもない。
この日も、カヤックで光市の島田川河口の辺りで釣りを楽しむ予定だったが、現地に着くと思いの外風と波があったため、マニアAの発案で急遽、馬島へ渡り陸釣りを楽しむ事にした。
馬島へは航路があり、片道160円とリーズナブル。出航まで時間があるので、島田川河口で陸からルアーを投げてみる。
一投目で、いきなりマニアBがダツを釣り上げた!「スゲー!」とか言いながら写真を撮ったりしていると、マニアBが俺の背後の方向を見ながら何か言っている。
振り返って見てみると、少し離れた所に足から血を流すマニアAが立っていた。突然釣れたダツに興奮する我々を尻目に人知れず転けていたようだ。
流血の量は決して少なくない。大変だ!
しかし、何故だろう、とても面白い!「大丈夫っすかーっ!」と駆け寄る我々の顔からは、隠しきれない満面の笑みが読み取れたに違いなく、マニアAにはバレていた。
後から聞くと、滑って転んだが、手に持っていた大切な釣道具を守るためには、やむを得ない負傷であったようである。痛みに悶えるマニアAだが、目の前の魚達への好奇心が勝り、痛い、痛いと言いながらもそのまま釣りを続けるのだった。
さて、いよいよ馬島への出航時間が近付いてきた。最低限の釣道具と、飲み物を持って船に乗り込む。片道約10分で、あっという間に着く。
島に着くと、必要以上に開発されていない自然豊かな景色の狭い道を歩き、砂浜に降りた。穏やかで透き通る静かな海にルアー投げながら、白い砂浜沿いを釣りながら移動する。
釣れないけど、何だかいい。
見慣れないけどノスタルジックな風景。ゆったりと流れる時間。日頃の喧騒を忘れさせてくれる。たった10分船に乗っただけなのに、こんなにも異国情緒を感じさせてくれるとは!思い付きで渡った離島だったが、直ぐに離島ファンになってしまった。
しかし、離島は極端に高齢化が進行している。今、離島に住んでいる世代が少なくなっていけば、航路もなくなり、簡単に渡ることは出来なくなる。
今のうちに渡航しなければ。

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