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裏山探検

1 発端

近所の歩道に案内板が設置されている。その内容は萩市の「茶臼山」と「面影山」についてだ。この二つの山は、山口市方面からの道が通る谷と、長門方面からの道が通る谷をそれぞれ見渡せる。このため、それぞれの山頂には元寇に備え鎌倉時代に砦が築かれ、今も砦跡の石垣が残っていると書いてあるのだ。
もう、長く萩には住んでいるがそんな事は知らなかった。萩市民でも多くの人々は知らないと思う。案内板の存在すらも。しかし、知ってしまうととてもロマンを感じてしまう。その砦跡とやらを見に行ってみたくなってしまう。
だが、問題がある。どの山が茶臼山なのか、面影山なのか、さっぱり分からない。その案内板にも位置までは書かれていないが、ここに案内板があるということはきっと近くなのだろうとネットで国土地理院の地図を確認する。すると、この二つの山の位置が分かった。さあ、探検の始まりだ!

2 まずは茶臼山へ

同級生のゴッツと、カヤック仲間のアッキーラの三人で出発する。予定では、まず茶臼山に登り、幾つか連なる山々を超え、最後に面影山に登る。
リュックをかるい、椿神社の近くの谷から茶臼山を目指す。沢に沿った獣道程度のルートを歩いて登る。獣道程度でも道があるうちは歩きよかったが、途中から道らしいものは無くなり、膝までのシダが足元を隠し石や倒木で滑ったりつまずいたり、斜面も角度を増し、冒険らしくなってきた。
まだここは里のすぐ近くだが、人の通ったような形跡はまるで感じられず、発見できるものはイノシシの蹄の跡、シカ等の糞といった野性動物の痕跡くらいである。すでにここは「もののけ」達の世界であり、我々が気軽に足を踏み入れてはならないのではないかと、そう思えてくる。
シダの急斜面を登り切り、茶臼山へと続く尾根へ出た。ほぼ平坦で歩き良い落ち葉の上を歩いていると、我々の進む先に「輪」が現れた。しっかりとした綺麗な円形で通路の中心に鎮座するその「輪」は、まるで「さぁ、この中へどうぞ。」と我々を誘いこんでいるようであり、そのままどこかの世界へ連れて行かれてしまいそうだ。
この「輪」は植物のツルが自然に作り上げたものであったが、ある程度の年数は必要とされただろう。ここは最も人間の歩きやすい所である。如何に人が踏み込まないかということだろう。
間もなく、茶臼山山頂に到着した。
山頂付近はある程度平坦な土地が広がっており、木々がなければ旧萩有料道路(古道萩往還も並行して通っている)の方面が見降ろせそうである。
早速、噂の砦跡を探してみたが、それらしいものは何も見付けられなかった。

3 次は面影山へ

茶臼山の頂上でコーヒーを一杯飲み、次の目的地である面影山を目指した。
面影山までは茶臼山から直線距離にして2km程度。一部人工の道を通るが、8割程度は国土地理院の地図をもとに道なき道を進む予定だ。道の無い知らない山の中では、自分たちが一体どこにいるのか、そして目指す方向はどの方向か、どういったルートを辿ればよいか、これらのことは全く見当がつかない。
しかし、最近はスマートフォンという便利なツールがある。アプリはGeograficaやFieldAccess2といったものがあり、これらは国土地理院の地図をキャッシュ出来るので、電波の届かないエリアでオフラインでも地図を確認できる。俺の場合はiPodTouchにFieldAccess2を入れ、外部GPSレシーバーをBluetoothで繋いで使っている。Geograficaの方がデザイン的に好みではあるが、残念ながらiPodTouchではログの記録が出来ないのである。
進むべきルートは、国土地理院の地図上で事前に予定を立てていた。なるべく標高差の無い、そして可能な限り直線的なルートである。が、面影山を目指し始め、直ぐにその予定ルートが絵に描いた餅であったことに気付かされる。
とある山の斜面を少し登り横方向へ進んで行こうと考えていたが、その斜面の角度は急で落ち葉で滑り滑落しそうである。加えて木が少なく掴むところもあまりない。あらためて国土地理院の地図を確認すると、このまま横方向へ進むと急斜面が続くので、危険だと感じやむを得ずその斜面を上へ登ることにした。
ある程度斜面がなだらかになり、ホッと一息ついて、今一度国土地理院の地図を確認する。残念ながら面影山へ向かうためには、現在地の斜面をピークまで登り切るしかなさそうである。このため、予定にはなかった三角山への登頂を余儀なくされた。
三角山に登頂する頃には、昼も過ぎ腹が減っていたので、この頂上で昼食をとり、一息入れることにした。
アッキーラは、Helinoxのチェアワンを持参しており、人気のない木の生い茂る快適さとは程遠い環境の中で快適そうに過ごしている。チェアワンは1kg弱と少々重量はあるが、125kgまで耐えれるという頑丈さでありながら、畳むとバックパックに余裕で入るほどコンパクトになる優れ物である。
今回の様な行動主体の時には邪魔になるかもしれないが、山頂でリラックスタイムを過ごそうとする場合等、これは必需品である。
さて、昼食も終え、いよいよ面影山を目指す。
既に予定ルートを外れているので、ここからは国土地理院の地図のみが頼りである。現在位置と等高線、そして現地を確認しながら面影山方面を目指す。残念ながら国土地理院の地図と現地の地形は完全一致はしていない。散々進んで急傾斜にぶち当たると引き返すことになるため、しっかりと考えながらルートを選択して行く。ただし、ルートと言っても道なき道である。場所によっては倒れた竹が幾重にも行く手を塞いでおり、その竹をバキバキと折りながら進むため、進行速度は遅くなってしまう。
だが、この「道なき道を目的地へ向かって進む」作業がなんだか楽しい。癖になってしまいそうだ。
そうやって進んでいると、興味深い物を発見した。石柱が山中に立っているのだ。
綺麗な四角柱の形をしており、地面から上は20cm程度のサイズで頭には漢数字が書いてある。そして横には「毛利家」と書いてあったのだ。そして、尾根沿いに歩いていると、所々にこの石柱が立っており、頭の数字は連続しているようである。
最近でも、このような形のコンクリート柱を埋め、土地の境界を表す文化はあるが、同様に毛利家の土地の境界を示しているのか?、又は何かのルートを示しているのか?知識の少ない我々には明確な答えを導き出すことは出来ないが、人知れず山の藪の中にこのような石柱が立っている物を見つけるだけで、意味もなくテンションが上がってしまう。
いよいよ面影山も近付いた頃、藪から突如ミカン畑に出た。すると目に萩市内から海まで見渡せる絶景が飛び込んできた。藪から絶景への突然のギャップに驚き、しばらくその景色に見とれていた。
萩市の東側の田床山から萩市内を見渡す景色は有名で見慣れていたのだが、西側から見渡すのは初めてでとても新鮮である。
だが、もう夕方も押し迫っている。最近は日没も早いので、少し緩んだ気持ちをピンと張りなおし、再び面影山へ向かうため藪の中へ身を投じた。
そこからしばらく藪の中を進むと、目的地の面影山頂上へ到着した。ここには、鉄塔が立っておりそれを囲う柵が広範囲を占めており、砦跡等とてもありそうでは無かった。
ここで、ゴッツの持ってきた冷めきったベチャベチャの鯛焼きを食べて、目的達成を祝い、下山した。

4 探険を終えて

今回は目的としていた鎌倉時代の砦跡は発見できなかったものの、道なき道をGPSと地図で進む楽しみや、謎の毛利家の石柱の発見など、とても刺激的であり、家の近所の裏山でこんなに楽しめたことが嬉しくもあった。
今後も「道なき道を行くシリーズ」を企画することとなるだろう。

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CONVERSATION

1 コメント:

  1. 私たちもあの看板見て気になっていたところでした。お陰で登らずとも山の状況がわかり、助かりました。近場で山登り楽しめるとかろがあるといいのですけどねー。月に一度近場で運動をしてますが、いい所あれば教えて頂けたらうれしいです。
    あと、子供が高校1年になりますが自転車にとても興味ありげです。またお尋ねすることがあるかもしれません。その時は宜しくお願い致します🙇

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