カヤックフィッシングに魚群探知機は不可欠だ。広大な海原を闇雲に釣るのと、魚群探知機の情報を基に釣るのとでは効率が全く違う。
ここでは、カヤックへの魚群探知機の美しい取り付け方法を解説する。
ベース機材
カヤック:Wilderness Systems Tarpon140魚群探知機:LOWRANCE Elite-4 HDI(振動子:浅場用)
目次
5 おわりに
そのために必要なものは、次のとおりで、これらは工具も使わずに簡単に取り付けできる。
取り付け完了イメージは、右の写真のとおり。
ここまでは、何の問題もなく取り付けは完了すると思う。
同時期に同じLOWRANCE Elite-4 HDIを購入し、友人はインハル、俺はトランサムにした。そうすると俺の魚探に映っている反応が友人の魚探に映っていなかったり、潮の動きや小魚の群れのうち反応の薄いもの等が認識できにくくなる。
そのデメリットを分かっていながらインハルにするのであればそれもよし。ただし俺は断然トランサム設置をお勧めし、ここでもその設置方法を解説する。
なお、インハル設置する場合は、入れ歯安定剤(ポリグリップ等)やコーキングで振動子と船底との隙間に空気が入らないように設置するらしい。
振動子をトランサム設置するためのオプションパーツとして、
が用意されており、これは振動子の上げ下げも出来るし、なんといっても簡単に設置できる。
しかし、俺にとっては美しくない。アームは直線的な棒で、アームを付けるためにサイドボードまで付けなければいけない。他の商品を探してみるが、良いものがない。
よって、次のとおり自作した。原材料の総額は3,000円程度だ。
まずは、完成イメージからご覧いただこう。
分かっていただけるだろうか。船型に沿った無駄のないアームライン。振動子の位置はフルスピードでの航行中にも空気が噛まない必要な深さを確保しつつ必要以上に深くない。そして取り付け部は、スライドトラックシステムにハンドノブで簡単に脱着ができ、こんなにコンパクト、スッキリデザインなのに、アームの上げ下げも簡単にできる。
因みに俺は自画自賛が得意だ。
これを作るために必要なパーツは、次のとおり。
なお、前提として、購入時にトランスファー(振動子)に付属する金属製の取り付けステー(右図の赤丸)は加工して使用するので、予めご理解いただきたい。
品揃えの充実したホームセンターであれば大部分を買いそろえることは出来ると思うが、中でもフリーストップヒンジ(トルクヒンジ)は、それ専の店でしか手に入らないと思う。フリーストップヒンジは材質、形状、そして何よりトルク値を吟味して選定した物で、自作トランスファーアームの肝となる。
おそらく、モノタロウ(https://www.monotaro.com/)で一括通販するのが手っ取り早いだろう。
まず、トランスファー(振動子)に付属する金属製のステーは両側にL字に曲がっているが、これを真っ直ぐに伸ばす。
分かりにくいと思うが、左の写真で説明すると、ビスの頭が2つ並んで見える面は、本来右側に開いていた面だが、それを左側に真っ直ぐ伸ばしたものだ。(因みに、写真のステーは通常の使い方と前後逆に使用している。)
両側のL字部分を伸ばす。
案外固い金属なので、単純にペンチ等で伸ばそうとしても綺麗に伸びない。固く重量のある金属の上で金槌でシバき上げるといいだろう。
次に、アルミフラットバーを加工し、トランスファー(振動子)を付けるステーとスライドトラックシステムに取り付けるステーの2つの部品を作成する。作成するのは右の写真で赤く丸している2つの部品だ。
作業の流れは、アルミフラットバーをまず曲げて、それから切る。先に切るとアルミフラットバーの端を曲げる作業が困難を極めるからだ。
アルミフラットバーの曲げ方は、曲げるラインに沿って万力に挟んで、なるべく万力に近い位置に手を添え、一気に力を加える。
万力がない場合は、金属の柱など固い物の角にアルミフラットバーをあて、曲げる位置になるべく近い位置の左右に両手をそれぞれ添えて、同じく一気に力を加える。
アルミの良いところは加工しやすいことだ。だが、柔らかいので曲がりすぎてしまうが、それを元に戻し、また曲げてと繰り返すと、その部分が弱くなってしまうので注意が必要だ。
まず、スライドトラックに固定する短い方(以下「ショートステー」と呼ぶ)から始めよう。
左の写真ではトルクヒンジと反対側が若干カーブを描いているが、これは必ずしも曲げる必要はない。単なる装飾である。
まずアルミフラットバーの端にトルクヒンジをあててみて、穴を開ける位置を確認し、3mmのビス穴を開ける。
そして、スライドトラックレールにボルトで固定することとなる位置に、6mmの穴を開ける。
この穴は左の写真では縦長になっているが、これは穴を直列にいくつか開けて、やすりで整形した。
この穴が縦長になっていると、トランスファーの取り付け位置を左右方向にスライドして調整が可能となる。
ここまで出来たら、実際にアルミフラットバーの端にトルクヒンジをビスで取り付けてみて、カヤックのスライドトラックレールにあててみながら穴の位置や必要な長さを確認しよう。必要な長さは7~8cm程度になると思うが、その必要な長さに金切りのこで切断する。
なお、このステーをスライドトラックレールにしっかり固定し動きにくくするために、ゴム板を形状に合わせて切断し、加工したアルミフラットバーの裏側に接着剤で貼り付ける。
ここまで出来たら、購入したフィットノブと6mmボルトでスライドトラックレールに取り付けておこう。
次にトランスファーを取り付ける側の長い方(以下「ロングステー」と呼ぶ)を作成する。
ロングステーは、まず上記アで加工したトランスファーの金属ステーを固定するために約3cm曲げるが、トランスファーの底面が水平になるような角度で曲げる。
そして順次、カヤックの側面に沿うように曲げる。Tarponの場合、左右の側面で形状が異なるため、左右のどちらに付けるかは予め決めておく必要がある。
最後に先にスライドトラックレールに固定しているショートステーのトルクヒンジの位置を確認しながら、トルクヒンジの面とアルミフラットバーの面が接するように曲げる。
曲げ加工が終わったら、トルクヒンジを固定する3mmのビス穴を二つ、トランスファーを取り付ける4mmのビス穴を二つ、それぞれドリルで開ける。開ける穴の位置は、トランスファーのステーやトルクヒンジを合わせながら位置を確認しよう。
ショートステー及びロングステーの角などは、好みに応じてヤスリで面取りをし、好みで塗装してみてもいいだろう。
最後にロングステーの裏側のカヤックに触れる部分に購入した帯状のスポンジを接着剤で貼り付け、完全に接着したら、左の写真のようにトランスファーのケーブルをロングステー表面に固定するため、3カ所(右上写真の黄色の矢印位置)程度、結束バンド(タイラップ)を通す穴をドリルで開けておく。穴のサイズは結束バンドの太さで決めよう。
なお、ケーブルはあまり上部まで固定してしまうと、トランスファーを跳ね上げた際にケーブルに負荷がかかり断線の原因となってしまいかねないので、ほどほどの位置までにしておこう。
ここまでくれば、特に組み立てについて説明する必要はないと思うが、左の写真のようにトランスファーに付属のステーにスぺーサーを挟み、ビスをとおして、ロングステーに固定する。
スぺーサーの長さが足りなければ、ワッシャーを噛ます等して調整しよう。
この時、トランスファーのケーブルは金属ステーの中を通した方が美しく仕上がる。
また、俺の購入したスぺーサーは、約半年の使用で錆ついている。ぜひステンレス製を見つけて購入したいものだ。
そして、ケーブルをロングステーに沿わせて結束バンド(タイラップ)でしっかり固定しよう。結束バンドは、結束のコブがロングステーの表面に来るようにしよう。
最後にロングステーをトルクヒンジにビス止めすれば、トランスファーアームは完成だ。
なお、トルクヒンジのビス止めは、航行中の波の振動等で緩んでくる場合もあるので、しっかりとしめること。
出航の度に、魚群探知機をRAMマウントでカヤックに取り付け、トランスファーアームをスライドレールに取り付けるという、二つの取り付け作業が面倒になり、トランスファーアームをRAMマウントの下部に直付けした。
このことで、カヤックへの魚群探知機取り付けがラムマウントで一発完了となり、煩わしさは半減した。
改良内容としては、上記ショートステーを作り替えただけであり、今回の物は、アルミフラットバーを約40度曲げて、トルクヒンジの取り付け穴二つとRAMマウントの固定ボルトにとおす穴を開けただけの簡単なものだ。
RAMマウントを採用し、トランスファーアームを作成する場合は、こちらの方法をお勧めする。
おそらく、まだ1~2年程度は使用に耐えるとは思うが、見た目に美しくないので、ホームセンターでステンレスパイプを購入し、程よい長さにカットし、交換した。
カヤックには電源がないので、新たにバッテリーを搭載する必要がある。
ここで、まずLOWRANCE Elite-4 HDIの電源仕様について確認しておこう。
電源電圧は12Vで、使用電力は約1Ahである。電圧12Vというのは分かりよいが、1Ahとはどういうことだろうか?
1Ahとは、1時間に1Aの電流を使用すると考えればよい。よって、カヤックで12時間釣りをしたければ12V12Ahのバッテリーを、9時間釣りたければ12V9Ahのバッテリーを搭載すればよい。
具体例として、すぐに思いつくのがバイク用のバッテリーや電動リール用等のバッテリーだ。
左の写真の商品「LONG 12V 12Ah 高性能シールドバッテリー」は、Amazonで2,350円(2014.11現在)で売られている。安い。サイズも横幅151mm×奥行98mm×高さ93mmで許容範囲だ。
しかし、デメリットもある。
重さが約4.3kgと、ちょっとしたダンベル程度だ。9Ahでも約2.7kgで軽くはない。
もうひとつ充電の問題がある。バッテリー充電器が別途必要であることと、バッテリーの残量が分からないことだ。
すでに電動リールを使っている人は、このようなバッテリーの容量追加で良いかもしれないが、新たにバッテリーを搭載する人にはお勧めの商品がある。
それは、12V出力可能なリチウムイオンバッテリーだ。具体的な商品で言うと「Anker Astro Pro2」だ。スマートでコンパクトなボディなのに20Ahという大容量。そしてバッテリー残量も表示されるし何と言っても軽い。これだけ好都合な商品なのに、バイク用バッテリーとバッテリー充電器を買う場合と大差ない7,000円程度の価格だ。
実は俺も友人に紹介してもらいこの商品にしたが、最初は「本当に使えるだろうか?」と半信半疑だったが、実際に使ってみて全く問題ない。
ただし、12Vではバッテリー残量30%以下では出力できない仕様なので、20Ahではあるが実際は1回の充電で14時間程度までの使用となる。
以下、配線に関しては、この「Anker Astro Pro2」を使用する前提で説明する。
カヤック艤装(魚群探知機のバッテリー更新)
さて、美しく配線を施すために、危険ではあるが避けて通れないことがある。
それが、LOWRANCE Elite-4 HDIの電源ケーブル及びトランスファーケーブルのショートカットだ。
これらのケーブルは、当然、モーターボート等で使用できるよう6mもの長さが確保されているが、カヤック上で必要なケーブルの長さはトランスファーケーブルで約80cm、電源ケーブルで約70cmだ。残り5m以上のゴツいケーブルをカヤック上に丸めて置いておくことは、美しさに反する。
しかし、この作業ははんだ付けや絶縁処理等が必要で、失敗した場合にはトランスファー自体再度購入することになったり、最悪な場合は魚群探知機本体が壊れてしまうこともあるかもしれない。このあたりのリスクを覚悟の上で作業をするか、そうでなければプロにお願いする方が良いかもしれない。
具体的な作業内容は、ケーブルをブッタ切って、皮膜を剥いで、はんだ付けして、熱収縮チューブや自己融着テープ等を駆使して絶縁、防水処理を施す。これらの作業は、ネット上に情報があるのでそちらを参照してほしい。
LOWRANCE Elite-4 HDIのケーブル処理にあたってのポイントは、まず、トランスファーケーブルであるが、右の写真はケーブルを切断して、皮膜を剥いだところだ。実は、本当は水色の皮膜の線がもう一本あるのだが、作業をしているとスルッと抜けてしまった。非常に焦ったが、確認の結果、水色とオレンジ色の線は使われていない線だった。よって、この二本は接続しなくても機能に何の影響もない。(2014.5時点の情報として)
また、電源ケーブル側は、電源(Power)とデータ通信(DataCable)がある。大事なのは電源ケーブル側で、データ通信をすることがなければ、データ通信ケーブルは根元近くからブッタ切って防水処理しておこう。
残された電源ケーブルの配線について説明する。
ここで必要となるものは、次のとおり。数量はそれぞれ1個で、総額3,000円程度。
ここでもマニアックな商品が並んでいるが、七星科学研究所の製品はマルツオンラインで、DCジャックはモノタロウで、ビニールコードはホームセンターの切り売りでそれぞれ購入した。
まずは七星プラグについて説明しておこう。
左の写真で、右側の魚探から左側にケーブルが延び、カヤックに突き刺さっている。この突き刺さっている部分に七星のプラグを使用している。
この七星のプラグは防水で脱着も可能である。また、取り外した時にはキャップを閉めておけば、カヤックを水洗いする際にホースでぶっかけても全く問題ない。
なお、七星プラグの取り付けにははんだ付けが必要だ。
また、NJWプラグに電源ケーブルを差し込む際には、電源ケーブルが若干太すぎるため皮膜を少し削って薄くしないと入らない。
全体的な配線イメージは、次の図のとおりだ。
このイメージ図に沿って配線を進めていってほしい。
配線にあたっては、常にプラスとマイナスを意識して、間違えないように繋げていかなければならない。
ポイントとしては、Anker Astro Pro2付属のケーブルのDC端子は、外側がマイナスで内側がプラスである。これを間で間違えないようにLowrance魚探に繋げて行こう。
最後に、DCジャックの固定について。
左の写真はTarponの座席付近のハッチ内で、ハッチの淵にアルミフラットバーの端材を4cm程度にカットしてV字型に曲げ、DCジャックを通す穴とビス止めする穴を開けたものを固定している。
その下に見える白いものは、ハッチ内でバッテリーが水にぬれないように引き出し式のボックスを設置しているが、これについてはTarponのハッチ内防水対策として、次回説明する。
ここまでこだわらなくても、美しくなくても、魚探が使えさえすれば魚は釣れる。どこまで美しさにこだわるかは自分次第だ。
1 本体の設置
LOWRANCEの取り付けは、Tarponにスライドトラックシステム(レール)が付いているのでこれを利用し、RAMマウントを使用するのが最もスッキリ取り付け出来ると思われる。そのために必要なものは、次のとおりで、これらは工具も使わずに簡単に取り付けできる。
- RAM-B-202-LO11 Lowrance MARK ELITE 4-5インチ用ワンタッチマウントヘッド 1インチボール
- 2,600円程度
- 純正のベースを取り外して、替わりにこのマウントを取り付ける
- RAMマウント ダブルソケット プラスチックスイベルアーム
- 4,300円程度
- RAMマウント1インチ用であれば、他のアームでも可
- RAMマウント Tスロットボールアダプター
- 1,600円程度
- Tarponに取り付け可能だが、若干コツがいる
ここまでは、何の問題もなく取り付けは完了すると思う。
2 振動子の設置
振動子の取り付けにあたっては、まず、インハル設置(カヤックの中から船底に固定する)かトランサム設置(カヤックの外側で直接水面下に固定する)かを決めなければいけない。同時期に同じLOWRANCE Elite-4 HDIを購入し、友人はインハル、俺はトランサムにした。そうすると俺の魚探に映っている反応が友人の魚探に映っていなかったり、潮の動きや小魚の群れのうち反応の薄いもの等が認識できにくくなる。
そのデメリットを分かっていながらインハルにするのであればそれもよし。ただし俺は断然トランサム設置をお勧めし、ここでもその設置方法を解説する。
なお、インハル設置する場合は、入れ歯安定剤(ポリグリップ等)やコーキングで振動子と船底との隙間に空気が入らないように設置するらしい。
振動子をトランサム設置するためのオプションパーツとして、
- スライドトラックスサイドボード (約6,000円)
- スライドトラックス TDアーム(約3,500円)
が用意されており、これは振動子の上げ下げも出来るし、なんといっても簡単に設置できる。
しかし、俺にとっては美しくない。アームは直線的な棒で、アームを付けるためにサイドボードまで付けなければいけない。他の商品を探してみるが、良いものがない。
よって、次のとおり自作した。原材料の総額は3,000円程度だ。
(1)完成イメージ
分かっていただけるだろうか。船型に沿った無駄のないアームライン。振動子の位置はフルスピードでの航行中にも空気が噛まない必要な深さを確保しつつ必要以上に深くない。そして取り付け部は、スライドトラックシステムにハンドノブで簡単に脱着ができ、こんなにコンパクト、スッキリデザインなのに、アームの上げ下げも簡単にできる。
因みに俺は自画自賛が得意だ。
(2)必要なパーツ
なお、前提として、購入時にトランスファー(振動子)に付属する金属製の取り付けステー(右図の赤丸)は加工して使用するので、予めご理解いただきたい。
- アルミフラットバー(平板) 厚さ3mm・幅20mm・長さ40cm以上 1本
- トルクヒンジ 栃木屋 フリーストップヒンジ(TH-144-3A) 1個
- スぺーサー(ステンレス) 長さ15~17mm・内径4mm以上 2個
- 三星 フィットノブ M6 1個
- 長方形ナット M6×17×23mm 1個
- ゴム板(なるべく固いもの) 厚さ10mm・縦横80mm×20mm以上 1枚
- 帯状のスポンジ 幅20mm×厚さ5mm程度×長さ約30cm
- ビス・ナット 4mm×25mm(又は30mm) 2セット
- ビス・ナット 3mm×10mm 4セット
- ステンレスボルト 6mm×30mm 1本
- 結束バンド(タイラップ) 極小 3本程度
品揃えの充実したホームセンターであれば大部分を買いそろえることは出来ると思うが、中でもフリーストップヒンジ(トルクヒンジ)は、それ専の店でしか手に入らないと思う。フリーストップヒンジは材質、形状、そして何よりトルク値を吟味して選定した物で、自作トランスファーアームの肝となる。
おそらく、モノタロウ(https://www.monotaro.com/)で一括通販するのが手っ取り早いだろう。
(3)トランスファーアーム作成
ア 金属ステー加工
分かりにくいと思うが、左の写真で説明すると、ビスの頭が2つ並んで見える面は、本来右側に開いていた面だが、それを左側に真っ直ぐ伸ばしたものだ。(因みに、写真のステーは通常の使い方と前後逆に使用している。)
両側のL字部分を伸ばす。
案外固い金属なので、単純にペンチ等で伸ばそうとしても綺麗に伸びない。固く重量のある金属の上で金槌でシバき上げるといいだろう。
イ アルミフラットバーの加工
作業の流れは、アルミフラットバーをまず曲げて、それから切る。先に切るとアルミフラットバーの端を曲げる作業が困難を極めるからだ。
アルミフラットバーの曲げ方は、曲げるラインに沿って万力に挟んで、なるべく万力に近い位置に手を添え、一気に力を加える。
万力がない場合は、金属の柱など固い物の角にアルミフラットバーをあて、曲げる位置になるべく近い位置の左右に両手をそれぞれ添えて、同じく一気に力を加える。
アルミの良いところは加工しやすいことだ。だが、柔らかいので曲がりすぎてしまうが、それを元に戻し、また曲げてと繰り返すと、その部分が弱くなってしまうので注意が必要だ。
左の写真ではトルクヒンジと反対側が若干カーブを描いているが、これは必ずしも曲げる必要はない。単なる装飾である。
まずアルミフラットバーの端にトルクヒンジをあててみて、穴を開ける位置を確認し、3mmのビス穴を開ける。
そして、スライドトラックレールにボルトで固定することとなる位置に、6mmの穴を開ける。
この穴は左の写真では縦長になっているが、これは穴を直列にいくつか開けて、やすりで整形した。
この穴が縦長になっていると、トランスファーの取り付け位置を左右方向にスライドして調整が可能となる。
なお、このステーをスライドトラックレールにしっかり固定し動きにくくするために、ゴム板を形状に合わせて切断し、加工したアルミフラットバーの裏側に接着剤で貼り付ける。
ここまで出来たら、購入したフィットノブと6mmボルトでスライドトラックレールに取り付けておこう。
次にトランスファーを取り付ける側の長い方(以下「ロングステー」と呼ぶ)を作成する。
ロングステーは、まず上記アで加工したトランスファーの金属ステーを固定するために約3cm曲げるが、トランスファーの底面が水平になるような角度で曲げる。
そして順次、カヤックの側面に沿うように曲げる。Tarponの場合、左右の側面で形状が異なるため、左右のどちらに付けるかは予め決めておく必要がある。
最後に先にスライドトラックレールに固定しているショートステーのトルクヒンジの位置を確認しながら、トルクヒンジの面とアルミフラットバーの面が接するように曲げる。
曲げ加工が終わったら、トルクヒンジを固定する3mmのビス穴を二つ、トランスファーを取り付ける4mmのビス穴を二つ、それぞれドリルで開ける。開ける穴の位置は、トランスファーのステーやトルクヒンジを合わせながら位置を確認しよう。
ショートステー及びロングステーの角などは、好みに応じてヤスリで面取りをし、好みで塗装してみてもいいだろう。
最後にロングステーの裏側のカヤックに触れる部分に購入した帯状のスポンジを接着剤で貼り付け、完全に接着したら、左の写真のようにトランスファーのケーブルをロングステー表面に固定するため、3カ所(右上写真の黄色の矢印位置)程度、結束バンド(タイラップ)を通す穴をドリルで開けておく。穴のサイズは結束バンドの太さで決めよう。
なお、ケーブルはあまり上部まで固定してしまうと、トランスファーを跳ね上げた際にケーブルに負荷がかかり断線の原因となってしまいかねないので、ほどほどの位置までにしておこう。
ウ 組み立て
スぺーサーの長さが足りなければ、ワッシャーを噛ます等して調整しよう。
この時、トランスファーのケーブルは金属ステーの中を通した方が美しく仕上がる。
また、俺の購入したスぺーサーは、約半年の使用で錆ついている。ぜひステンレス製を見つけて購入したいものだ。
そして、ケーブルをロングステーに沿わせて結束バンド(タイラップ)でしっかり固定しよう。結束バンドは、結束のコブがロングステーの表面に来るようにしよう。
最後にロングステーをトルクヒンジにビス止めすれば、トランスファーアームは完成だ。
なお、トルクヒンジのビス止めは、航行中の波の振動等で緩んでくる場合もあるので、しっかりとしめること。
(追記)後日改良
a トランスファーアーム改良
このことで、カヤックへの魚群探知機取り付けがラムマウントで一発完了となり、煩わしさは半減した。
改良内容としては、上記ショートステーを作り替えただけであり、今回の物は、アルミフラットバーを約40度曲げて、トルクヒンジの取り付け穴二つとRAMマウントの固定ボルトにとおす穴を開けただけの簡単なものだ。
RAMマウントを採用し、トランスファーアームを作成する場合は、こちらの方法をお勧めする。
b スぺーサーをステンレスへ
振動子のステーに使用していたスぺーサーは、海で約1年間、メンテナンスフリーで使用していたため、錆まくっている。おそらく、まだ1~2年程度は使用に耐えるとは思うが、見た目に美しくないので、ホームセンターでステンレスパイプを購入し、程よい長さにカットし、交換した。
3 バッテリーについて
さて、ここに来てやっとバッテリーについて触れる。カヤックには電源がないので、新たにバッテリーを搭載する必要がある。
ここで、まずLOWRANCE Elite-4 HDIの電源仕様について確認しておこう。
電源電圧は12Vで、使用電力は約1Ahである。電圧12Vというのは分かりよいが、1Ahとはどういうことだろうか?
1Ahとは、1時間に1Aの電流を使用すると考えればよい。よって、カヤックで12時間釣りをしたければ12V12Ahのバッテリーを、9時間釣りたければ12V9Ahのバッテリーを搭載すればよい。
左の写真の商品「LONG 12V 12Ah 高性能シールドバッテリー」は、Amazonで2,350円(2014.11現在)で売られている。安い。サイズも横幅151mm×奥行98mm×高さ93mmで許容範囲だ。
しかし、デメリットもある。
重さが約4.3kgと、ちょっとしたダンベル程度だ。9Ahでも約2.7kgで軽くはない。
もうひとつ充電の問題がある。バッテリー充電器が別途必要であることと、バッテリーの残量が分からないことだ。
すでに電動リールを使っている人は、このようなバッテリーの容量追加で良いかもしれないが、新たにバッテリーを搭載する人にはお勧めの商品がある。
実は俺も友人に紹介してもらいこの商品にしたが、最初は「本当に使えるだろうか?」と半信半疑だったが、実際に使ってみて全く問題ない。
ただし、12Vではバッテリー残量30%以下では出力できない仕様なので、20Ahではあるが実際は1回の充電で14時間程度までの使用となる。
以下、配線に関しては、この「Anker Astro Pro2」を使用する前提で説明する。
2016/10/29追記
Anker Astoro Pro2が故障のためバッテリーを単三乾電池10本に交換。カヤック艤装(魚群探知機のバッテリー更新)
4 配線
(1)ケーブルのショートカット
それが、LOWRANCE Elite-4 HDIの電源ケーブル及びトランスファーケーブルのショートカットだ。
これらのケーブルは、当然、モーターボート等で使用できるよう6mもの長さが確保されているが、カヤック上で必要なケーブルの長さはトランスファーケーブルで約80cm、電源ケーブルで約70cmだ。残り5m以上のゴツいケーブルをカヤック上に丸めて置いておくことは、美しさに反する。
しかし、この作業ははんだ付けや絶縁処理等が必要で、失敗した場合にはトランスファー自体再度購入することになったり、最悪な場合は魚群探知機本体が壊れてしまうこともあるかもしれない。このあたりのリスクを覚悟の上で作業をするか、そうでなければプロにお願いする方が良いかもしれない。
具体的な作業内容は、ケーブルをブッタ切って、皮膜を剥いで、はんだ付けして、熱収縮チューブや自己融着テープ等を駆使して絶縁、防水処理を施す。これらの作業は、ネット上に情報があるのでそちらを参照してほしい。
(2)電源ケーブルの配線
トランスファー側の処理は、上記ショートカットですべて完了だ。残された電源ケーブルの配線について説明する。
ここで必要となるものは、次のとおり。数量はそれぞれ1個で、総額3,000円程度。
- 七星科学研究所 【NJW-163-PM5】NJWプラグ 防水型(シェルφ16・3極)
- 七星科学研究所 【NJW-163-RF】NJWレセプタクル 防水型(シェルφ16・3極)
- 七星科学研究所 【NJW-16-RCA】NJWレセプタクルキャップ 防水型(シェルφ16)
- マル信無線電機 パネルマウント DCジャック MJ-15
- ビニールコード 0.5又は0.75sq 2芯 1m程度
左の写真で、右側の魚探から左側にケーブルが延び、カヤックに突き刺さっている。この突き刺さっている部分に七星のプラグを使用している。
この七星のプラグは防水で脱着も可能である。また、取り外した時にはキャップを閉めておけば、カヤックを水洗いする際にホースでぶっかけても全く問題ない。
なお、七星プラグの取り付けにははんだ付けが必要だ。
また、NJWプラグに電源ケーブルを差し込む際には、電源ケーブルが若干太すぎるため皮膜を少し削って薄くしないと入らない。
全体的な配線イメージは、次の図のとおりだ。
配線にあたっては、常にプラスとマイナスを意識して、間違えないように繋げていかなければならない。
ポイントとしては、Anker Astro Pro2付属のケーブルのDC端子は、外側がマイナスで内側がプラスである。これを間で間違えないようにLowrance魚探に繋げて行こう。
(3)DCジャックの固定
最後に、DCジャックの固定について。
左の写真はTarponの座席付近のハッチ内で、ハッチの淵にアルミフラットバーの端材を4cm程度にカットしてV字型に曲げ、DCジャックを通す穴とビス止めする穴を開けたものを固定している。
その下に見える白いものは、ハッチ内でバッテリーが水にぬれないように引き出し式のボックスを設置しているが、これについてはTarponのハッチ内防水対策として、次回説明する。
5 おわりに
以上で、TarponへのLowrance Elite-4の設置は完了だ。ここまでこだわらなくても、美しくなくても、魚探が使えさえすれば魚は釣れる。どこまで美しさにこだわるかは自分次第だ。
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