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初めてのバーナー選びに悩んだらJETBOIL

アウトドアで使うバーナーには色々な種類がある。それぞれ何が違うのか?燃料の種類はどれがいいのか?鍋やフライパン等のクッカーはどれを買えばよいのか?最初はさっぱり分からない。
フィールドでの調理経験も無いのに、各商品の説明を読んで、それを理解するのは中々難しい。
最近、そんな悩める仔羊たちの声を聞いたのだが、俺は「お前ら、迷わずJETBOILを買えっ!」と言う。今日はその理由を説明しておく。

JETBOILとは

まず、JETBOILとは、クッカー(鍋)とバーナーの一式がセットになっている。バーナーやガス缶等はクッカーの中にタイトに収納できるため、コンパクトでバラつかない。
2004年に発売され2005年に日本に入荷されると、その名の通り湯の沸く速さで一気に話題となった。その速さの秘密は、クッカーの底に着いているフレックスリングだ。これによりバーナーの火が当たる表面積が大きくなり、効率良く熱を伝えている。

自分がどの程度調理するのか?を考える

そんなJETBOILには、調理が苦手であるという致命的な欠点がある。JETBOILは、空焚きしてしまうとフレックスリングが溶けてしまうため、クッカーの内容物と火力の状態次第では、そのリスクと背中合わせとなってしまう。
近年になって、やっと弱火で調理ができるモデル(MiniMoとMicroMo)が発売され調理も可能となったが、フレックスリングがある限り、溶解のリスクは0にはならない。
そんな致命的欠点のあるJETBOILをなぜ勧めるのか?それは、JETBOILが最高の湯沸かしマシンとして評価出来るからである。
「調理したいのに、湯沸かしマシンだと?」と思うかもしれない。その気持ちもよく分かる。景色の良い山頂で、手の込んだ美味しい料理を作って食べてみたいだろう。
しかし、実際料理することを考えると、様々な食材と調味料、油等を準備し、皿やフライパンも用意し、食事が終わると、油ぎった調理器具を洗うか拭くかして片付けなければいけない。そんな事を毎回、毎回するのだろうか?俺の場合はNoである。
湯沸かしマシンでの調理であっても、カップラーメンは当然の事、パスタを茹でて、市販のレトルトやパウダーをかけてカルボナーラやペペロンチーノも出来る。湯を入れるだけで食べられるアルファ米にレトルトカレーでカレーライスだし、アルファ米には炒飯や炊き込み等、種類もたくさんある。これらの料理でも山頂で食べれば十分に美味しい。アイデア次第でまだまだ幅は広がるはずだ。
そして、天気の良い日であれば、JETBOILはクッカーの中の湯を全て使うか捨てておくと、食事が終わる頃には乾燥していて、湯沸かしのみであるが故、油っ気がないためそのまま収納でき、後片付けも簡単である。
実際のところ、日帰り登山の場合、弁当かカップラーメンを食べ、コーヒーを淹れて飲む程度で、バーナーでは湯を沸かす程度だという者も多い。現実的なところを考えると「湯を沸かすだけ」と割り切っても何も問題は無いかもしれないし、逆にメリットも生まれてくる。

JETBOILは燃焼効率が良い

JETBOILは湯が沸くのが速い。どれくらい速いかというと、イメージで、他のバーナーで4分前後かかるところを、JETBOILは2分ちょいで沸騰する。
ところが、JETBOILのバーナー部は火力が強い訳ではない。他のバーナーの出力が2,000〜2,500kcal/h程度のところ、JETBOILは1,000〜1,500kcal/h程度だ。火力が弱いのに湯が沸くのが速いのだが、これがフレックスリングの熱効率の力だ。これが何を意味するかというと、JETBOILは低燃費で経済的であるという事だ。
JETBOILで使うガスは、OD(Out Door)缶といいアウトドア・ショップやホーム・センターのアウトドア・コーナーでよく見かけるやつだ。サイズは一般的に110缶と呼ばれる一番小さいヤツがJETBOILのクッカーに収納可能である。
この110缶で理論上の計算をすると、他のバーナーでは8〜12回程度しか湯を沸かせないところ、JETBOILでは24回も沸かせる。
なお、湯を沸かす速さだけを追求するのであれば、他の高出力のバーナーにフレックスリングの付いたJETBOIL等のクッカーを使えば、最強である。しかし、JETBOILは燃焼効率を最大限に引き出すためのバランスを考えて、ちょうどよい出力でセッティングが施されているのだろう。

オール・イン・ワン設計

バーナーの選択は、クッカーの選択を伴う。クッカーの選択は、自分の調理パターンや使うガス缶のサイズが収まるかどうかも関係してくる。使うガス缶のサイズは自分の行動パターンやバーナーの燃焼効率が関係してくる。全てが相互に関係してくるため、タチが悪い。それで、それらがコンパクトに収納できるかどうか、重量はどの程度かも大きな関心事だ。
これを、あーでも無い、こーでも無いと考える事も楽しみの一つかもしれないが、情報収集は大変だし、結局考えても考えても、使ってみなければ分からないと言うのが結論だろう。
JETBOILなら、そんな事を考える必要はない。ガス缶以外は全てセットになっており、ガス缶も含め、全てがクッカーにスッキリ収まる設計になっているのだ。(一部のモデルを除く。)
重量は、自分で最軽量の物を頑張って選んでいけば、JETBOILより100〜200g程度軽く出来るかもしれないが、それはスマホ程度の重量であり、スマホ一つが自分の行動に影響を与えるかどうかを考えてみればよい。その上、110缶一個の重量が約200gである。ガス缶一つ省略できる場合は、散々最軽量のセットを揃えても、そのメリットがなくなる。もしかすると、体積でデメリットが生まれてしまうかもしれない。
数日間に渡る縦走の場合も、ガス缶の個数まで含めて考えれば、検討の余地はあるかもしれない。

ガス缶についての基礎知識

JETBOILはOD缶というガス缶を使用する。OD缶は、缶のサイズや接続口は各社統一されているものの、色々な製品が各社から販売されている。OD缶であれば、もちろんJETBOILにも使えるが、JETBOILにはJETBOIL社のガス缶を使用しなければいけない事になっており、他社製のOD缶を使用した際の故障は保証の対象外となる。
OD缶は、同じメーカーの同じサイズでも複数の種類が販売されている事がある。これは、中身のガスの種類が異なっていて、簡単に言うと使う環境の気温によって使い分ける。スタンダードなガスは0度以下での燃焼が困難になるし、ハイパワーなガスは寒い中でも燃焼しやすくなるが、気温が高いと気化しやすく危険である。極端に寒い中で使用しないのなら、スタンダードなガスでよいが、雪の中で使う場合には、ハイパワーなガスでないと燃焼は困難である。
ところで、JETBOIL社のガス缶には種類がない。サイズが2種類あるだけで、中身はどちらも同じであり、缶には「FOUR SEASON MIX」と書かれている。要は、先に説明した環境で使い分けるといったややこしい事は何も考えなくてもよい。どちらかと言うとハイパワーなガスの配合がされていて、雪の中でも使える(極端に気温が低い場合を除く。)が、他社のスタンダードなガスと比較すると、若干高価となる。

まとめ

JETBOILを選択する事がどれだけ理にかなっているかは分かってもらえたと思うが、JETBOILが万人にとって正解であるとは言わない。バーナーとクッカーは、人それぞれのフィールドでのライフ・スタイルによって選ぶものは変わってくる。理屈ではなく単なる好みやこだわりで選ぶ場合もあるだろう。
ただ、右も左も分からないのであれば、とりあえずJETBOILを買う事は間違いではないと思うし、JETBOILについて考える事で、バーナー及びクッカー選びの入り口に立てたのではないだろうか。

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