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Camp @ 川尻岬


初心者船山の釈放

6月17日の“ツール・ド・しものせき”で、ゴールを目前にし、俺の目の前から欄干を越え橋の下への消えた初心者船山が、8月6日、51日間にも及ぶ入院生活から解放された。言い換えれば、罪深き事故を経て刑期を終え、釈放されたのだ。
抑圧された生活から解放され、その歓びからか、早速、Wild LifeオフィシャルクッカーとなっているTrangiaのStorm Cookerや、BOSEのBluetoothスピーカー等の高級アウトドアグッズを買い漁っていた。んじゃぁ行くか!ってことで、川尻岬へのキャンプ行きが決定した。
まだ激しい運動はできないが、キャンプなら問題ない。

気になっていた川尻岬

40度にも迫りそうな猛暑日が続いていたので、標高が高く涼しい渓流のあるキャンプ場に行こうかとも思っていたが、ここ数日は急に30度を超えない日も。この気温であるならば、以前から気になってはいたが行く機会のなかった川尻岬に行ってみよう。
買い出しを済ませ、10時には川尻岬に到着した。
視界には蒼い空と海の大パノラマが飛び込んでくる。手前の草原の緑との融合も美しい。東屋の日陰に腰を掛けると、涼しい風が吹き抜ける。想像以上に景色も環境も良い。感動のままにビールで乾杯し、最高の環境下で朝からビールを飲める幸福感に浸る。

Trangia Storm Cooker

昼食にカレーを作る。
カレーは、初心者船山が新しく買ったTrangia Storm Cooker S ブラックバージョンで作る。作ると言っても、米を炊いてレトルトのカレーを温めるだけだが、米を炊くだけでも知識や経験なしにはできない作業だ。
しかし、初心者船山は、初めてとは思えない程上手に米を炊き、レトルトのカレーを温め、旨いカレーを作り上げた。
流石は、Trangia Storm Cookerである。

ハンモックで昼寝

海を見下ろすように吊り下げたハンモックに身を預け、涼しいそよ風に揺れる。ビールでほろ酔いになり、カレーで満腹になり、BOSEのスピーカーから心地よいサウンドが流れる中、揺りかごに寝そべっていると自ずと眠たくなってくる。
目が覚めると、何時に眠りに着いて、今が何時なのか分からないが、キャンプにそんなことは関係ない。初心者船山は、まだ熟睡していた。

夕まずめの釣り

17時頃、マニアB師匠が合流した。前夜は福岡での宴会に参加し、休憩を挟んで駆け付けて来てくれた。
少しゆっくりして、太陽が水平線に沈みかけた頃、川尻岬の先端の方でルアーを投げてみることにした。川尻岬は釣り場としても有数のポイントであり、現にこの日も、ビールを飲みながら沿岸で発生しているナブラを何度も目撃している。青物が一本でも釣れれば、捌いて刺身にして夕食にしたいとの思いを胸に、夕暮れの岬の尾根沿いに遊歩道を進む。
いよいよ海岸沿いに下りてみると思いの外波があった。釣りは快適にできそうはないし、もし釣れても取り込みが大変そうである。その上、磯釣りの安全対策を全く施していない我々は、あっさりと諦めて夜の宴会を始めることにした。

夕暮れの川尻岬

まずは、夕焼けを肴にゆっくりと酒を飲む。キャンプでは、どの瞬間も至福の時である。その至福のレベルを川尻岬の景観が押し上げてくれている。夕焼けの水平線に徐々に現れる漁火も美しい。夕焼けの美しさは刹那の儚さがあり、そして自らの美しさを誇らない。故に美しいのだろう。
美しさに酔っているのか、酒に酔っているのかは分からないが、男三人で星についても語り合った。

新たなキャンプ文化の幕開け

我々のキャンプ飯は、素材を焼くか、茹でるかくらいの料理しかしない。この日も、それ前提の食材しか買ってきていない。
まずは、椎茸を初心者船山のTrangia Storm Cookerで焼き、しょうゆを付けて食べる。うん、旨いっ!旨いのだが、この閉塞感漂う調理方法には正直飽きが来ている。
マニアB師匠も同じ考えだが、マニアB師匠は行動の男であり、そんな我々のキャンプ飯文化に風穴を開けようとしていた。何と、アヒージョを作ると言って、食材や調味料を準備していたのだ。
マニアB師匠は刻んだニンニクと鷹の爪をオリーブオイルで炒めはじめた。“調理”が始まったのだ。そこにエビ、イカ、アサリ等の海産物を入れ、味付けをしたらアヒージョが出来上がった。
食べたことも無い、しかも聞きなれない小洒落た名前の“料理”に箸を伸ばし、一口食べてみる。旨いっ!酒の肴に持って来いだ!流石、拘りの男マニアB師匠である!
こうしてこの日は、食べるだけ食べ、飲むだけ飲んでテントに潜り込んだ。

ヘヴィーな朝食

昨夜、十分に食べて飲んだので、朝は食欲がない。コーヒーを飲みながら、クロワッサン風のピザを焼き、軽い朝食にする予定だ。
しかし、クーラーボックスを開けてみると、肉や餃子などヘヴィーな食材が残っている。
「流石に朝からこれは喰えんなぁ。」と話していると、まだ若い初心者船山が「え?俺喰いたいっす。」と軽~い感じで言うので、初心者船山のために焼くことにしたのだが、焼いているととても旨そうに見え、どんどん腹が減ってきて、結局、マニアB師匠も俺も普通に食べてしまった。
これもキャンプの七不思議のうちの一つである。平日に、通常の生活の中で、朝仕事へ行く前に食えと言われても食えない。

川尻岬を後に

いつまでもここに居たいが、後ろ髪を引かれながら後片付けをする。このまま一生涯、何にも縛られずにこの様な生活を続けたいが、収入あってこそのアウトドアである。
はぁあ、明日から仕事かぁ。


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