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大将山 登山


不安定な天気

今年は記録的な暖冬になりそうだが、週間天気予報では、連日傘マークが表示されている。まるで雨季のようだ。
週末も例外なく傘マークで、何も出来ないと諦めていたら、金曜日の夕方、翌土曜日の予報が曇りに変わった。
急遽、今年のマイブームであるソロ登山に行ってみることにした。

大将山

萩市むつみにある大将山の標高は644m。
9時過ぎに標高314mの登山口に到着。山頂までの標高差は330m。
数年前に、地域の方々が登山道を整備したという話を聞いたことがあった。
山頂は、萩市と山口市との境だが、整備された登山道は萩市側で、今回はこの登山道を登ってみる。

管理道を歩く

登山口からは、森林管理のための道を歩く。
やや草が茂っているが、十分に歩きやすい。
しかし、ちょうど標高400m付近で、この管理道は終わってしまい、目の前には藪が現れた。
その藪に近付いてみると、藪と化してはいるものの、地形的には管理道が継続していて、かなり歩きにくいが、とりあえず進んでみる。
単なる藪漕ぎとなり歩きにくいので、道をそれてヒノキ林の中を歩こうと左手の土手を上がった。
すると、すぐそばに並行してもう一本管理道を見つけた。しかも、こっちはとても歩きやすい。
どうやら、先ほど藪に入る地点で、道を間違えていたようだ。

管理道終点

標高490m付近で、登山道は左手へ少し登った尾根へと案内される。
ここで管理道は終わり、いわゆる登山道っぽい道が始まる。
尾根を歩いていると、間もなく分かれ道に出会い、尾根から左手へ「権現様水取場」と案内されており、案内されれば気になるので、気の向くままに進む。

権現様水取場

斜面を横切るように100m程度進むと「権現様水取場」に到着した。
湿気の多い地面に地味に水が沸いている水源だ。
見た目は本当に地味であり、権現様が何者か、権現様が水を取っていたのか、権現様のために誰かが水を取っていたのか、知識の無い俺にはその言われは全く想像も出来ない。
ただ、地味な水源であった。

山頂

水源を後にし、目の前の尾根に上がり、山頂へ向かう登山道へ復帰する。
ここからは、勾配がきつくなり急激に標高が上がっていく。
そして登山口から約1時間で、山頂に到着した。
山頂付近は、北側に向け視界が確保されており、麓の集落から日本海まで望めるが、南側の山口市方面は藪に阻まれ眺望できない。
メスティンで米を炊き、コーヒーを飲み、静かな山頂を楽しむ。

悪い癖

気付くと、山頂に到着して2時間30分も経過していた。下山するため、荷物を片付ける。
山頂には来た道と反対側にも道があり、いつものことながら、無計画にそっちへ進んでしまう。
やはり、同じ道をただ戻っても面白くはない。

野生動物

このルートは、萩市と山口市の境界沿いに尾根を歩くルートのようだ。
登って来た道は植林されたヒノキ林もあったが、こちら側は、原生林である。
随所にピンク色のリボンが枝に巻かれているので、こちら側も登山道として確立されているのだろう。。
登山道には、イノシシが鼻で掘り起こしたであろう痕跡が延々と、異常なほどに続く。しかも、結構最近に掘り起こされたのではなかろうかと思われる。ここはイノシシのテリトリーなのだろうと思いながら歩いていた。
すると、尾根の左下から音がしたので、立ち止まって聞き耳を立てると、ガサゴソガサゴソと、落ち葉を踏みながら歩くような音が続く。
尾根からの斜面は急峻でその姿は確認できないが、その音から、一定の体重がある動物であり、距離的にもそこそこ近い事が分かる。また、その音は、急いでいる歩調でもなく、おそらくこちらの存在には気付いていない。
もし、こちらへ向かっていて出会ってしまうと良くないので、こちらの存在を知らせるために、立木をカンカンと叩いてみた。
すると、落ち葉を踏む足音は、急に慌てたように走るような、滑るような音となり、徐々に斜面の下へと遠ざかっていく。
そして間もなく音がしなくなったので、もう一度立木を叩くと、再び慌てたような落ち葉の音が始まった。
楽しくなって、何度か繰り返すと、その音は随分と遠くなっていった。

渓流

尾根沿いとはいえ、急な斜面を下っていると、徐々に渓流の流れる音が近づいてきた。
尾根から左手の山口市側に折れると、目の前に車の通れる管理道が現れ、その向こうに、蔵目喜川の支流が流れている。
綺麗な川で、阿武川漁協が蔵目喜川にもヤマメを放流しているので、もしかするとここにも渓流魚が棲み付いているのではないかと期待してしまう。
渓流沿いに山を下りながら時々足を止めては、魚に気付かれないように渓流を覗き込み、その存在を確認するが、やはり居そうにはない。

魅惑の水明

楽しく渓流を眺めながら歩いていると、流れはやがて、堆積した砂や石の中に消えてしまった。
残念に思っていると、その先に、砂防ダムに遮られた小さな湖水が管理道沿いの繁みから垣間見える。
管理道沿いの繁みは堰堤部分まで歩いて行くと急に開け、そこからその湖水をハッキリ見ることが出来た。
そしてその瞬間、心を奪われてしまった。
一切の濁りの無い宝石のように透き通った薄い藍色の水は、対照的に彩度の無いグレースケールの湖底までハッキリと観通せて、そこには沈んだ流木が横たわり、水面に浮かぶ水草の影が映る。
何と表現すればよいのやら分からないが、西洋絵画のようなその美しさに魅了され、そして人知れず無自覚に美を誇る湖水に出会えた悦びと相まって、中々その場を離れることは出来なかった。

藪漕ぎ

間もなく、民家や田畑が現れる。
ここからは、約4kmほど里を歩いて登山口に停めた車まで戻る。
国土地理院に記される道を歩いていると、里のアスファルト道は、林の中の山道へと変わり、行畑池というため池まで行くと、道は藪に閉ざされた。
時折見える静かな水面に癒さつつも、ストレスフルな藪漕ぎをしながら、約300mほどため池沿いに進む。
ため池から離れると同時に、再び文化的な道を歩き、車まで戻る。

ソロ活動

今日も、色々な出来事があった。
独りぼっちなので、それぞれの出来事に関して誰とも共感することは出来ない寂しさはあるが、残ったものは充実感のみである。
ソロ活動も悪くない。






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1 コメント:

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