目的は漁である。男は漁にでなければならない。荒れ狂う海でデカイ魚をたくさん獲って持って帰るのだ。
波打ち際に押し寄せる波をなんとか克服し、とりあえず海へ出た。朝方まで南風でべた凪だった日本海は、風が変わって波も高くなっていた。
まずは、左手沖合100メートルに見えるテトラポットへ向かうこととした。きっとあそこにはデカイ魚が居るに違いない！
が、若干波がある。1メートル弱位の波だ。きっと問題ないのだろうが、初めての海。ちょっとだけ怖い。
右手の湾を見ると海面が穏やかだ。アッキーラに「あっち行こうか」と言うと素直に応じるので、仕方なく穏やかな方へかじを切る。
が、湾内も案外波がある。
荒れ狂う海でデカイ魚と格闘するのも良いが、これも悪くない。
橋げた周りでルアーを投げていると、中学生くらいの女の子が2人声をかけてきた。「靴をとって下さい。」と。
橋から靴を落としたらしく、そこに都合よくカヤックに乗ったおじさんがやってきたのだ。
ちょっと背伸びしたおしゃれなピンク色の靴を水面から拾い上げ、「行くよー。」と言って橋の上へ投げた。
「ありがとうございました。」「どういたしまして。」と、平和な時間が流れる。本当は、荒れ狂う海でデカイ魚と格闘の予定だったのだが。
次回はアッキーラが何と言おうと、デカイ魚を獲りに行く！なぜなら、俺は、高い波など怖くないから。
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