前例のない買い物
冬の積雪期しか登ったことのない深入山。以前からマニアB師匠と雪のない深入山にも登ってみたいと話していたが、いよいよ実現できる機会が訪れた。登山後には、深入山の近くの聖湖でキャンプする予定なので、まずは、マニアB師匠と買い出しを済ませる。買い出しをしながら、マニアB師匠と「いつもワンパターンよね。」「何んか新しい料理って無いかね?」と会話しながら商品を眺めていた。すると前回、川尻岬でアヒージョを作ったマニアB師匠が「パエリア作ってみるか?」と言う。
そんなもの作れるんかなぁ?と思ったが、ネット情報によるとそう難しそうでもない。そして、サフランやエビ、パプリカなど、今までの買い出しでは決して手を出さなかったような食材や調味料を購入した。
登山開始
ちょうど昼頃に登山口に到着し、準備を整え、登山を開始。深入山には樹が殆ど生えておらず、草原のような山肌、高地の涼しい空気と蒼い空、そして白い雲が最高に清々しい。
まだ若く体力のある初心者船山がサクサクと先頭を登り、マニアB師匠と俺が辛そうに息を切らせながら一生懸命それに着いて行く。
実は、俺が辛いのには理由(言い訳)がある。皆んなが山頂でカップラーメンを食べれるよう、2リットルの水をザックに入れているばかりではなく、俺を除く2人が山頂で冷たいビールを飲めるよう、ビール2本を氷と一緒にザックに入れている。俺はドライバーなのでビールは飲めないにも関わらず、俺がザックに入れている。しかし辛くとも、山頂ではきっと2人が「ありがとう!」と喜んでくれるだろうから、それで辛さも吹き飛ぶだろう。
初心者船山が初心者である所以
しかし、急な階段状の登山道が運動不足の体に応えるのだが、初心者船山はサクサクと登って行く。マニアB師匠と俺にとってハイペースだが、やはり年下の初心者船山に「待ってくれ」とか「休憩しようや」とかは言えないという誇りを持っている。
そしてマニアB師匠が口を開いた。
- マニアB師匠「船山ちゃん、大丈夫?」
- 初心者船山「え・・??全然大丈夫っすよ!」
- マニアB師匠「無理せんでええんよ。」
- 初心者船山「全然無理して無いっすよ!」
- マニアB師匠「大体そう言うんよねぇ。初心者は。」
- 初心者船山「そ、そうなんすか・・?」
- マニアB師匠「そうなんよ。休憩した方がええんじゃないん?」
- 初心者船山「は、はぁ。んじゃぁ、休憩・・したいっす・・。」
- 俺「まぁ、初心者が言うならしゃーないなぁ。休憩にしてやりますか。」
- マニアB師匠「そうやなぁ、初心者が言うならしゃーないなぁ。」
そして休憩を終え出発する時、初心者船山は我々に告げた。「俺がまた休憩したくなったら言ってください!」と。
マニアB師匠が改名
マニアB師匠は、このサプリメントに、いや、このサプリメントの原料に対し無条件の絶大なる信頼を寄せ、大きな期待感を持っており、もはや、“信仰”の域に達しているかもしれない。
それが故に、自らの名前を改名するとまで言いだした。よって、この瞬間から、マニアB師匠は、マニアZn師匠となった。
山頂で乾杯!
早速、Helinoxのチェアゼロに座り、キンキンに冷えたビールを2人に差し出した。
だがしかしである。2人はいつまでたっても、俺に対する感謝を口にしない。それだけではなく、申し訳なさも一切表現しない。それどころか、そこに俺の存在が無いかのように、2人だけで幸福感を共有して楽しんでいる。“て、てめぇら・・、お、覚えとけよ・・。”と、心に怨みを深く刻んだ。
下山
帰りは、少し遠回りだがなだらかな林間のコースで下山する。
すると、初心者船山がやらかした!
麓まで降りると、高い空の下で少しだけ色づき始めたモミジに、小さな秋を感じた。
聖湖キャンプ場
温泉に入って、聖湖キャンプ場へ向かう。人気の少ない寂しいキャンプ場だろうと思っていたが、到着すると人がごった返している。無料で環境が良いこともあって、広島県民に大人気のキャンプ場のようだ。ビールを飲みながら、テントを張ったり、椅子とテーブルを出したり、ハンモックを吊るしたりして、しばらく、ゆったりとした。
史上最高のパエリア
頼りない料理長ではあるが、料理長の指示に従い、食材を切ったり、エビの皮を剥いて背ワタを取ったり、皆んなで協力して下ごしらえを済ませた。
見た目は完全にパエリアである。見た目のレベルは低くない。
初心者船山のガスランタン
その後は、静かな森の中のキャンプ場を満喫しながら、ゆっくりと酒を飲む。その雰囲気を最大限に盛り上げてくれたのは、初心者船山が新しく導入したガスランタンだった。やわらかく、暖かみのある小さな炎が、ゆらゆらと、やさしく、落ち着いた時間を照らす。
キャンプ場へは、夕方、早めに入ったはずだが、あっという間に夜は更けた。
超高カロリーモーニング
そして、遅めの朝食を作り始める。
勢いに任せて頬張り続け、皿の上の超高カロリーモーニングが半分を超えた頃には、あまりにもの脂っこさにもう嫌気がさし始めていた。何でも程々が一番良い。頬張る勢いを落とすと、そのまま完食できなさそうだったので、勢いを止めることなく最後まで頑張った。
これが、この二日間の最後の思い出となった。
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