4年前からの懸案
2015年11月、マニアAのKangooのベッドキットを作成し、このブログで紹介したところ、若干意に反するところではあるが、今ではブログ内で一番人気の記事となっている。作成方法についても何件か問い合わせを受けた。実は、そのKangooベッドキットを設計した時点で、自分のLand Cruiser 100用のベッドキットも設計を済ませていたのだが、作成はズルズルと先延ばしとなり、気が付くと4年を経過しようとしていた。
設計変更
8月に入った頃だっただろうか?いよいよ重い腰を上げ、作成に取り掛かることを決意する。以前設計したベッドは、セカンドシートと荷室の全面が平らなベッドになる、一般的なベッドキットの思考そのものだった。
しかし、よくよく考えてみると、子供達も大きく成長した今、車中泊するのは俺一人。全面ベッドである必要は無い。
しかも、車中泊する状況としては、カヤック・フィッシングで遠征をする際や、自転車の大会に出場する際の前日入り等、ラゲージスペースには、荷物が溢れていて、全面ベッドでは、ユーザビリティが低下してしまうこともある。
しかも、自転車等高さのある荷物が積載出来なくなることには、俺の活動に大きな支障がある。
つまり、俺一人が快適に寝ることができ、後は自転車を含め荷物が十分に積めるスペースが確保できる、そんな構造が自分には最適であると考え、一から設計しなおすことにした。
CADソフトの選定
従来から、設計図面はMicrosoft Wordの作図機能を使用して作成していたが、設計変更に当たり、作図の作業を煩わしく思ったので、フリーのCAD(製図)ソフトをインターネットで探してみた。そして出会ったソフトがAutodesk社のFusion 360だ。
CADソフトについての知識は浅いが、何となくパソコンで二次元の製図が出来るソフトであることは分かっていた。しかし、このFusion 360は二次元ではなく、何と三次元である。いわゆる3D CADだ。
3Dでモデルを組み上げていけば、それを基に、二次元図面も簡単にしかも正確に書き出せ、図面間の不整合もない。
それだけではない。このFusion 360は、可動する箇所をソフト内で稼働させ部品同士の干渉を確認したり、やろうと思えば、強度計算も出来る。よく分からないが、その他、色々出来る。
しかも、Autodesk社と言えば、CADソフトの世界シェアが50%もあるアメリカの老舗らしいが、その会社のソフトが、非営利の個人使用であれば無償で使わせてもらえるのである。
このソフトを使わない手はない!
Fusion 360の使い方習得
そうと決まれば、早速インストール。しかし、そもそものソフトの使い方がよく分からない。しばらくの間は、時間を見つけてはネットで使い方を学習した。
製図の知識も無く、2D CADも15年前に一度だけ使ってみた事があるだけの俺が、突然3D CADの学習に向かい合ったのだ。
だが、腰を落ち着けて学習してみれば、そんなに難しいものでもなく、もしかしたら2D CADよりも簡単かもしれない。そう思わせるほどFusion 360は洗練されたソフトなのだろうとも感じた。
再設計開始
そして、8月中旬、いよいよ設計に取り掛かる。今回も、Kangooのベッドキットと同様に、LECOFRAMEを骨組みに使う。LECOFRAMEでは、取り扱っている製品の3D CADデータもネット上で公開している。
これをFusion 360に読み込み、PC上で組み立てていく。その他のパーツは、使う部品を決めたら、それをFusion 360の中で同じサイズで作成し、それを組み付けていく。頭の中の構想は、面白いようにPCの中で形になっていく。
作成した図面と物差しを手に、ラゲージルームで設計内容を確認し、再考しながら設計に修正を加えていくことを何度も繰り返す。
キャンプや自転車、釣り等で予定が埋まってしまうため、空いた週末は数少ないが、そんな時に作業を進めながら、設計が完了した時にはもう9月も終盤を迎えていた。
実体を作成
設計が完了すると、必要となる全ての部品を発注し、手元に揃ったのは10月9日。いよいよ、作成に取り掛かった。作成期間は、延べ6日間。思いの外時間を要したが、10月20日にやっと完成した。出来上がったベッドキットは、当然のことながら3D CADで組み上げた仮想の物と同じであり、既に見慣れていた物であるが、それが実体となると感動も一入である。
材料費は4万円程度。
我ながら出来栄えには大満足だ。
完成品の紹介
収納時
ベッドキットは収納式であり、ベッドとして使わない時には、最小限の大きさに収納できる。ベッド面のアルカンターラは内装カラーとコーディネートしたベージュにし、後面は木目調で高級感を醸し出し、純正オプションのような様相に。
引き出し付き
車内に散乱しがちなアウトドアグッズもたっぷり収納できる引き出し付き。MSR Hubba、Helinox テーブルワンやチェアワン、JETBOIL、Trangia StormCoocker等々、自分の収納したい物が収まるサイズに設定してある。サイドのボックスへのアクセス
ベッド面は、ラゲージルームの曲線に沿って密着させているが、壁面のボックスは開閉可能なように、余白を確保。ベッド面下の小さなボックスへも、引き出しの右側にあるマグネット式で開閉可能なパネルを外してアクセス可能。そして、そこは収納としても活用可能。
ベッドの設営
- ベッドキット本体の左サイドのパネルを跳ね上げ、脚を広げる。
- セカンドシートを跳ね上げ、かさ上げするようゴムブロックを取り付けたカバーを床面に装着する。
- ベッド面の下面にマグネット式で収納されているパネルを取り出す。
- セカンドシートを倒す。なお、セカンドシートの背面には、クッション材をアルカンターラで包み込み、装着してある。
- ベッド面の下面から取り出したパネルを隙間にセットする。
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