登山口から、山頂までの標高差は約1,000m。いつも行っている深入山は標高差約400mなので、その倍以上だ。深入山でいつもヘロヘロになってしまう程度の体力で大山を攻めることに不安もあるが、それ以上に不安な事がある。
それは、斜面が急なことだ。実は山田っさんとは、以前、夏の大山に登った事がある。その時、山頂付近で、「バックカントリーの時はこの辺りから滑り降りるんよ。」と、急な崖を指差していたのだ。あそこを滑ることになるのだろうか?
大山登山は、後半から急に標高が高くなり始める。この辺りからは斜度がきつくなるので、靴に滑り止めが無いと危険だ。アイゼンが最適だが、持っていないのでスノーシューを装着する。
急斜面のアイスバーンは、一旦滑り始めると止まらない。その先に岩や崖があると大事故に繋がる。今からの滑走エリアは未知なる世界だ。技術不足により転けてしまうと、そのまま・・・。大丈夫だろうか。
そんな事を考えながら、一歩一歩ゆっくり登り続けていると、6合目付近にボーダーやスキーヤーが溜まっていた。どうやら、ここから滑走しようとしているようだ。6合目付近といっても、標高は1,600m程度なので、山頂までの標高差は200mもないくらいだ。
ここから山頂の間は緩やかな傾斜で、登るのもそれほど辛くないが、大山のバックカントリーは6合目付近からの滑走がメインらしい。「どうする?」と山田っさんが聞いてきたが、標高が上がるにつれアイスバーンっぽくなっているし、無駄な体力を消耗している余裕もないので、「行っちゃいましょう!」と。そして、登山モードから滑走モードへと準備を整えた。
しかし、滑走開始ポイントは突然“崖”だ。今までこんな急斜面はゲレンデでもバックカントリーでも見たことがない。身仕度は整っているものの、心の準備は全く出来ていない。
そこからは、滑走したり、転けてぶっ飛んだり回転したり、とても楽しく、アッと言う間に麓まで降りていった。
そして『次回はもっと上手にこの斜面を滑りたい』という気持ちが湧き上がってきた。
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