しかし、週末が近づいて来ると、どうやら今回の雪は数十年に一度レベルの大寒波によるものらしい。大雪、暴風雪、波浪ともに警報が発令されるだろうと。この状況は、俺にとってプラス要因でしかなく、余計にワクワクしてしまう。
しかし普通の感覚であれば、この状況下での白銀の鍋は中止と判断するだろう。俺だけのワガママで皆んなに辛い思いをさせてもいけないし、辛さを感じながら鍋を囲んでも楽しくはない。なので止むを得ず、皆んなに「大寒波らしいので、今回は中止にしましょうか?」と投げかけた。
だが、マニアB師匠はサラッと「じゃからやるんじゃろ。」と。俺の苦渋の投げかけは瞬時に無きものとなり、揺らぎのない決行となったのだった。そうだった、俺だけではない。すっかり忘れかけていたが、この人たちもアホだった。
迎えた当日、萩市内の平地にも15cm程度の近年にない積雪があり、テンションが上がる。アッキーラと同級生の杉と一緒にマニアB師匠を迎えに行き、鍋の具材をスーパーで調達した。杉は、不運にも前日たまたまSNSで俺に話しかけてしまったため、参加しなければいけなくなった。
4人は車で、近隣の標高500m付近を目指す。標高が上がるにつれ、積雪量も増えてきた。予定どおり、大雪警報も暴風雪警報も発令されている。それを裏切らない程度に雪も降り続けている。絶好の鍋日和だ!
そして、メインの鍋を作り始め、出来上がりを待ちながら、雪でキンキンに冷やしたビールで乾杯した。
極寒の中、鍋がグツグツと煮える音は人に安心感を与えてくれる。この安心感は、きっとこの環境下だからこそ味わえるのだろう。そして、鍋も出来上がりアツアツの肉を口に入れると、これまた家で食べる鍋では感じ得ない幸せに浸り思わず喘ぎが漏れてしまう。
だがその一方で、やはり寒い。運転手なのでビールはノンアルコールである上に、シャーベット状と化し炭酸が抜け不味くなっていて、極寒の中、最早何のために飲んでいるのかは不明である。鍋の具材も凍結していて、かじかんだ手に箸を持ち、肉と肉を引き離すのにも苦労する。少し立ち上がると、椅子の上に雪が積もり、度々雪をはらわなければならない。足先も激烈に冷たくなっていて、じっとしていられない。
この状況は、捉え方によっては拷問のようなものである。しかし、誰一人、泣き言も言わなければ早く帰ろうとも言わない。
やっぱり皆んなアホなのだ。
なお、その後アッキーラは38度2分の熱を出したらしい。バカは風邪をひかないというので、やっぱりアホなのだ。
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