アジは小さく子供も釣る魚だし、釣りとしても地味なので、この寒い時期にそんな魚をわざわざ好んで釣らなくてもと思っていた。だが、マニアB師匠が非常に強い興味を示していたのと、この季節、フライもカヤックもオフシーズンなので、最近流行りのアジングにチャレンジする事となったのだ。
マニアB師匠は、この日に備え、アジングについて勉強し、専用タックルを揃え、情報を収集していた。それに対し俺は、約20年前に買った渓流釣りロッドとリールを引っ張り出し、同時期に購入したと思われるブラックバスやメバル用のワームを持って行ったのだった。
アジングとは、アジをワームで釣るのだが、同じ防波堤で行う一般的なサビキ釣りで釣れる小さなアジとは違い、30cm前後の大型を狙う。アジは青物であり、大型のアジをライトタックルで釣れば、それなりに引きを楽しめるのだとマニアB師匠は言う。
その時、ひたすらワームをキャストしていたマニアB師匠が、突然「来たっ!」と言った。慌てて駆け寄ると、大型のアジが水面近くから潜り、竿を大きくたわませている瞬間だった。それを見て、本当に釣れるのだということと、それを、まるで釣れそうにない環境下で釣ったと言うことの二重の驚きを感じ、一気にやる気になった。
急に勢い付いてロッドを振り始めた俺に対し、マニア達は「こっちの方が釣れるよ。」とアジングで定評のあるワームを恵んでくれた。そしてその直後、俺にも20cm程度のアジが釣れた。
ここからは、皆、黙々とキャストを繰り返し、アジングを楽しんだのだった。
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