時間遅れのスタート
この日は、初心者船山と2人での登山。萩駅で7時に集合することにしていたので、その前に家を出る。昨夜の雨がまだ残っていたが、萩駅に着くころには止んでいた。萩駅に着いてトイレへ行ったりしていると、時刻は7時10分。しかし、初心者船山がまだ現れない。日頃から忙しい男ではあるが、今まで約束の時間に遅れて来ることは無かった。
彼の行動特性から考えると、事情があって遅れるのであれば、必ず連絡を入れてくるはずだ。“寝てやがるな。”と思い、電話すると、10コールくらいして焦ったように電話に出た。寝てやがった。
そして、8時頃、やっと初心者船山が集合場所に現れた。
不快な登山
今日は、焼下山を経由して、明木の岩ノ巷山へ縦走するコースだ。山の中腹にある南明寺への参道途中から、道を外れ、谷を焼下山へ向かい登っていく。谷には沢が流れ、沢に沿って歩くが、藪となっている谷には木や竹が倒れ行く手を阻む。対岸を沢沿いに歩き、そしてまた対岸へ移動して歩き、時には沢を歩き、時には沢沿いの斜面を歩く。
朝まで降った雨で藪の枝葉は雫を携え、服やザックを濡らす。障害物も越えなければならないため、手も足も濡れて汚れてしまう。苔を生した沢の岩や、堆積した落ち葉の下の土は滑りやすく、一歩一歩に注意を要する。
実に不快だ。何が楽しくてこんな事をしているのだろうと思ってしまった。
焼火山
何とか不快な谷を抜け、焼火山へ続く尾根へ出た。尾根は歩きやすく、ホッとする。しかし、さっきまでの不快な谷に比べると、何だか物足りない。谷を黙々と登りながら、いつの間にか闘争心を掻き立てられ、スイッチが入ってしまったのかもしれない。
そこから幾つものピークを越えながら、393mの焼火山山頂に到着した。我々のここ最近の登山ではお馴染みであるが、山頂には三角点の石柱が埋められているだけで、見晴らしも何もない。
萩往還を横断
しばし休憩し、石ノ巷山へ向かう。焼火山からは、一旦、萩往還まで下るが、下るルートの地形は国土地理院の等高線からは読み取れないほど複雑で、その上、藪で周囲も見渡せず、GPS機器を使ってもルートに迷ってしまい、予定していた尾根の下の谷に向かっていた。
しかしそのことに気付いた時、振り返ると下りてきた急な斜面が在る。これをわざわざ戻るよりは、予定していたルートとは多少異なるが、目の前の谷をそのまま下ることにし、予定していたポイントより約400mほど北側で萩往還を横断した。
約束の炊飯
萩往還を横断し、再び斜面を登り、荒廃した尾根を歩く。この日は石ノ巷山で昼食をとる予定にしているが、もう昼時をまわり、激烈に腹が減っている。早く飯を喰いたいが、石ノ巷山までは、まだしばらく歩かなければいけない。空腹に耐えきれず、石ノ巷山から約1km手前の名のない山頂で昼食休憩にした。
前回、JETBOILでアルファ米を食ったら、初心者船山からその軟派性を非難されたので、この日はTRANGIAのStormCoockerで米を炊く。俺は、水の量も炊飯時間も“だいたい”だが、もう手慣れたもので失敗はしない。
一方、初心者船山は、前回の炊飯で、水の量が多いのに最終的に水が足らず焦がしてしまっていたので、今回は、火力を調整したらよいことを教えた。しかし、前回の経験から水を多めに入れてしまっていたので、今回は水が多すぎた。
このあたりが、俄かアウトドアマンの初心者船山である。経験を積んで体で覚えることが大切だ。きっと、あと1~2回の炊飯で何かを掴めるだろう。
ほとんど人が立ち入ることは無いだろうと思われる山頂。誰もいない“社会”から隔離された静かな時間を、しばらく楽しんだ。
石ノ巷山
石ノ巷山は、地元の方々が整備している山だ。石ノ巷山が近付いて来ると、展望の開けた場所で、萩市の三角州とその向こうに島々が眺望できる。そして、標高359mの石ノ巷山に着くと、草は刈られ若い桜の木が所々に植えられた、気持ちの良い山頂に出た。今度は明木の集落が見下ろせる。ここに着いたころには、もう、西の山に日が落ちそうな時間になっていた。
ここからは、ほとんどアスファルト道を歩いて帰る。藪をかき分けながらの道なき道を進むルートはここで終わりだ。HELINOXに座り日暮れの展望を楽しみながら、コーヒーを一杯飲み、過酷なルートからの解放感に浸った。
復路
帰りは、アスファルト道や萩往還を歩く。アスファルト道はもちろん、萩往還も歩きやすく、山中とは比べものにならない速度で進むことができる。冬至を一週間後に控えた夕刻、上弦の月は雲に隠れ、周囲は真っ暗である。萩往還を歩きながら、昔の人はライトもなしに歩いたのだろうと思いを馳せる。
脚は強くなっているのか?
初心者船山が寝坊して出発が遅れたとは言え、朝から夕方まで歩き続けているのに、脚は全く痛くない。1ヶ月前の田万川へ向かった時とは大違いだ。しかし、距離的には田万川の時の半分程度でしかない。はたして、この一ヶ月のトレーニングは成果を生んでいるのだろうか?いよいよ来週、田万川へリベンジする!
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